"もしかすると使えるかもしれない" SharePoint によるビジネス インテリジェンス「ほぼ完全版」


先日、勉強会で話をする時間を頂いた。その際に紹介した表題のデモを時間の関係で説明を省略したところを含めて一気に記載したい。長文ですが、ご容赦を。

出来るようになりたいこと

ある会社で、以下に示すような「経営の意思決定に役立つ」情報を得たいという要求があるケースを考えます。

  • 自社製品の売り上げが 3 ヶ月後にどうなるかを知りたい。
  • 社長や役員は、タブレット端末や壁掛け型の大型フラットパネルでグラフを見たい。
  • たまに売り上げ報告後に修正を入れる営業がいるので、マネージャは何処が変更になったのか変更箇所を簡単に知りたい。

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利用する製品

今回は、以下の製品を利用して実現します。但し、後者に関しては、あくまでもグラフの作成や元データの再取り込みを実施するユーザーが必要なものであり、グラフを参照するだけの人 (経営者などを想定) は不要です。

  • SharePoint Server 2013 (SharePoint Online も可)
  • Office Professional Plus 2013 または Office 365 ProPlus

リストをつくる

営業の人が売り上げ情報を登録する場所に SharePoint の「リスト」を利用します。リストはすごく簡単に書けば、SharePoint サイト内の表で、表の定義がこちらです。[合計金額] 列は、「=金額*個数」と定義した集計値で、ユーザーがアイテム (表のレコードのこと) を登録すると、勝手に計算した結果を投入してくれます。

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個々のアイテムは、このような Web ブラウザ上の簡易的な電子フォームを利用して登録します (当然ですが、Excel ファイルの内容をコピーして一気に貼り付けるようなことも出来ますが、ここでは割愛します)。

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Sharepoint リストをフォームのように利用することに関しては、以下の外部サイトも参考になりますので、ぜひ確認してください。
(私の考える)最も簡単にSharePoint Onlineでフォームを作成する方法 | Always on the clock

今回は、以下のように 10 アイテムほどデータを投入しました。

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Excel ファイルの格納場所を準備

SharePoint の「ライブラリ」と呼ばれる SharePoint サイト内のファイル置き場に Excel ファイルを保存しますので、この設定を行います。

今回は、SharePoint の「チーム サイト」と呼ばれるサイトを作成すると標準で作成されている [ドキュメント] ライブラリを利用しますので、作成の必要はありませんが、バージョン管理出来るように設定を変更します。

チーム サイトの [ドキュメント] ライブラリにアクセスし、[ライブラリ] タブの [ライブラリの設定] をクリックします。

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[設定] 画面で [バージョン設定] リンクをクリックします。

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[このドキュメント ライブラリのファイルを編集するたびにバージョンを作成する] で [メジャー バージョンを作成する] を選択し、[OK] ボタンをクリックします。

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Excel ファイルの格納場所と同期を取る

次に、「SkyDrive Pro アプリ」と呼ばれる SharePoint Server 2013 のライブラリと同期を取るアプリケーションの設定を行います。このツールを使うと、Note PC を持ち運んでいる際などクライアントが SharePoint Server 2013 と接続できない状態であってもファイルの編集を行い、接続された際に双方向で同期を取ってくれる便利なツールです。このツールは、Office Professional Plus 2013 または Office 365 ProPlus をインストールすると利用可能になります。または、こちらから SkyDrive Pro client for Windows をダウンロードすれば利用可能です。

以下のページによると iOS 版も予定されているようですので、期待して待っていましょう。
New Mobile Apps for Sharepoint (by the SharePoint Team)

SkyDrive Pro および SkyDrive Pro アプリに関しては、以下も参照してください。
SkyDrive と SkyDrive Pro の違いは? – ビジネスプロダクティビティ製品チーム – Site Home – TechNet Blogs

タスク バーから SkyDrive Pro アプリのアイコンを右クリックし、[新しいライブラリの同期] を選択します。

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同期を取る確認ダイアログが表示されますので、[代わりに別のライブラリを同期] リンクをクリックし、URL に SharePoint チーム サイトの[ドキュメント] ライブラリの URL (http://<サーバー名>/<サイト>/Shared%20Documents/) を入力し、[今すぐ同期] ボタンをクリックします。

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これ以降は、これによって作成されたフォルダへ Excel ファイルを保存することになります。このフォルダは [お気に入り] に登録されますので、エクスプローラーからすぐにアクセスすることが可能です。

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リストの内容を Excel ファイルにエクスポートする

[リスト] タブをクリックし、[接続とエクスポート] カテゴリの [Excel にエクスポート] をクリックします。

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ファイル保存ダイアログが表示されますので、[ファイルを開く] をクリックします。

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クライアント上の Microsoft Excel (今回は全ての手順を踏まえて Excel 2013 が前提) が起動し、[Microsoft Excel のセキュリティに関する通知] ダイアログが表示されるので、[有効にする] をクリックします。有効にすることで、これ以降も SharePoint のリストから Excel へのデータの反映が可能になります。

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リストのデータが投入された状態でシート [owssrv] が表示されます。

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この [Excel にエクスポート] 機能ではなく、[OData データフィード] という方式を利用する方法もあるのですが、これを利用すると、このファイルを SharePoint ライブラリに置くと Office Web Apps 経由で開けなくなるため、ここでは割愛します。
[OData データフィード] に関しては、以下の外部サイトも参考になりますので、ぜひ確認してください。
REST サービス 事始め –  – SharePoint Developer

この Excel ファイルを SkyDrive Pro アプリで設定した同期を取るためのフォルダに保存します。[ファイル] – [名前を付けて保存] で、該当フォルダに適当な名称 (今回は Sales_11.xlsx) で保存します。

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Excel 2013 で分析ツールを利用可能にする

[ファイル] メニューの [オプション] をクリックします。

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[Excel のオプション] ダイアログが開くので、[アドイン] をクリックし、[管理] に [Excel アドイン] を選択し、[設定] ボタンをクリックします。

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[アドイン] ダイアログが表示されるので、[分析ツール] をチェックして、[OK] ボタンをクリックします。

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ピボットグラフを作成

取り込んだアイテムからピボットグラフを作成します。

(参考) ピボットグラフを作成する – Excel – Office.com
http://office.microsoft.com/ja-jp/excel-help/HA102919712.aspx

[挿入] メニューの [ピボットグラフ] – [ピボットグラフ] を選択します。

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[ピボットテーブルの作成] ダイアログが表示されるので、[テーブル/範囲] にリストから取得されたテーブルを選択し、[OK] ボタンをクリックします。

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Excel シートの右に表示される [ピボットグラフのフィールド] を以下のように設定します。

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ピボットテーブル内の [行ラベル] に表示されている日付を選択し、マウス右クリックし、[グループ化] を選択します。

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[グループ化] ダイアログが表示されるので、[単位] に [月] を選択し、[OK] ボタンをクリックします。

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ピボットテーブルの行ラベルが月単位にまとめられ、ピボットグラフも同様になっていることを確認します。

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[分析] メニューの [ピボットテーブル オプション] を選択します。

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[空白セルに表示する値] に [0] を入れ、[OK] ボタンをクリックします。

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[ピボットグラフ ツール] – [デザイン] タブの [グラフの種類の変更] をクリックします。

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[折れ線] の [マーカー付き折れ線] を選択し、[OK] ボタンをクリックします。

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[ピボットグラフ ツール] – [デザイン] タブの [グラフ要素を追加] – [近似曲線] をクリックします。

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近似曲線を追加したい系列 (今回は製品名) を選択し、[OK] ボタンをクリックします。製品数だけ繰り返します。

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点線で将来まで含まれた線が追加されます。これが、所謂将来想定される売上額になります。

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(参考) グラフに近似曲線や平均線を追加する
http://office.microsoft.com/ja-jp/excel-help/HA102809798.aspx

Excel ファイルを保存する

完成した Excel ファイルを、SkyDrive Pro によって同期を取っているフォルダへ保存します。このフォルダは [お気に入り] に登録されますので、エクスプローラーからすぐにアクセスすることが可能です。

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スマートフォンやタブレットで参照する

iOS や Android などのスマートフォンやタブレットで SharePoint ライブラリに格納された Excel ファイルを Office Web Apps と組み合わせてモバイル ブラウザから参照することが可能です。

サポートされているモバイル デバイス ブラウザー (SharePoint 2013)
http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/fp161353.aspx

URL に SharePoint チーム サイトの[ドキュメント] ライブラリの URL (http://<サーバー名>/<サイト>/Shared%20Documents/) を入力すると、端末に応じたドキュメント ライブラリのコンテンツ一覧が表示されます (例は iOS のスマートフォンの場合)。

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該当するファイルを選択すると、最初のシートが表示され、グラフはグラフへのリンクを表すアイコン (下記図の赤で囲った箇所) で表示されるので、そのアイコンをクリックします。

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Excel ファイル内のグラフが、「画像」として参照することが可能です。

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売り上げの値段を更新する

リストからいずれかのアイテムの「金額」または「個数」の変更を行います。今回は、営業の人が、2013年4月1日の売り上げで 10% の値引きを行ったため、金額に変更を加えました (赤枠の箇所)。

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Excel 2013 でスプレッドシート検査ツールを利用可能にする

次の手順で、Inquire アドインを有効化し、スプレッドシート検査ツールを利用可能にします。

What you can do with Spreadsheet Inquire
http://office.microsoft.com/en-us/excel-help/what-you-can-do-with-spreadsheet-inquire-HA102835926.aspx

[ファイル] メニューの [オプション] をクリックします。

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[Excel のオプション] ダイアログが開くので、[アドイン] をクリックし、[管理] に [Excel アドイン] を選択し、[設定] ボタンをクリックします。

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[COM アドイン] ダイアログが表示されるので、[Inquire] をチェックして、[OK] ボタンをクリックします。

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Excel シート内の差分を確認する

SkyDrive Pro 上の Excel ファイルをクリックし、開きます。

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[データ] タブの [接続] – [すべて更新] ボタンをクリックすると、ピボットグラフおよびピボットテーブルの内容が最新の情報に更新されることがわかります。

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[上書き保存] アイコンをクリックします。

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[ファイル] メニューの [バージョンとチェックアウト] 上に古いバージョンの Excel ファイルが確認できますので、比較したいバージョンをクリックすると、その Excel ファイルが (最新の Excel ファイルとは別に) 開きます。

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[INQUIRE] メニューの [ファイルの比較] アイコンをクリックします。

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比較する Excel ファイルを選択の上で、[比較] ボタンをクリックします。

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2 つの Excel ファイル内の相違点が表示されます。これで、更新した特定のアイテムの特定の列を知ることが可能です。

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なぜ xxx ではいけないのか

いくつかの製品やソリューションと比べた際に、こちらの方がいいと思える点を挙げておきます。当然ながら、別の意見を持つ人もいるでしょうし、利用用途によっては当てはまらないケースもあるとは思いますが、参考にしてください。

  • なぜ、ファイル サーバーではいけないのか?
    –> バージョン管理や SkyDrive Pro アプリによるオフライン同期が出来ないために変更箇所がわからなかったり、常時ネットワーク接続が求められてしまいます。
  • なぜ、Excel の (共有ブック機能による) 共同編集ではいけないのか?
    –> 今回はデモのため端折っていますが、一般的にはアイテム (今回は売上データ) を登録すると、ワークフローなどで承認を行う処理が入ります。Excel のシートにデータを追加することでは、そういったことには対応できません。また、タブレットやスマートフォンからの参照や登録にも対応できません。
  • なぜ、RDBMS (とそれを利用したアプリケーション) ではいけないのか?
    –> ワークフローなどを利用して承認を行うような処理を含めた全ての部品と、それを包含するアプリケーションを作成するのですか? この手のやりたいことが複数ある場合、ひとつずつ作りますか?
  • なぜ、SharePoint の Reporting Services のような BI 機能ではいけないのか?
    –> 全く問題ありません。むしろ、使用可能なライセンスをお持ちであれば、そちらをお勧めします。

プラットフォームの汎用品化

ここで挙げた例は、要は「SharePoint という情報共有基盤や Office というプレゼンテーション層を司るアプリケーションなどのマイクロソフトのプラットフォームをベースにしてビジネスを効率的に進めましょう」ということを言っています。

これまでは、独自開発アプリケーション、パッケージ製品や基幹システムを利用しつつ、それぞれを自社に合わせて拡張してビジネスを進めていたわけです。ここで、その拡張していた箇所に目を向ければ、ワークフロー、バージョン管理 (差分管理)、アラートメールの送信、UX を含むポータルの構築などマイクロソフトのプラットフォームが一つあれば、うまく利用してコストの削減が図れるのではないか、ということです。念のためですが、基幹システムなどを無くしましょうと言っているわけではなく、これらとうまく組み合わせましょう、ということです。

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この考え方のことを「Business-Critical SharePoint (BCSP)」と呼び、マイクロソフトでは長年取り組んでおり、事例にて高い ROI が得られています (詳しくは英語ですがこちらをどうぞ)。最新の SharePoint Server 2013 の機能やオンプレミスやオンラインなど設置場所を問わない構成によって、その実現性は非常に高くなっていますので、一度検討してみるのもアリでしょう。

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